公開講演会参加記

県立三室病院  道本 実保

 講演会のあった日は2月、この原稿依頼をもらったのは11月である。ただでさえ最近物忘れがひどいのに、9ケ月も前のことなんて覚えていられるだろうか?
 たしか、私の仕事は体脂肪測定だった。なんてことはない、年齢、性別、身長、体重を入力して測定器を握ってもらうだけである。あらかじめ、正常値の書かれた紙をもらっていたが、男性の正常範囲が狭かった。正常値から外れていた場合、アドバイスを求められたらどうするのだ?「脂っこいものは控えて、運動して…」とありきたりの事しか言えないし…と少し心配していたが、そんな困ったことを聞いてくる人は幸いいなかった。外れていても、苦笑いしながら、「運動不足やろなあ…。」と自分で結論を出して去って行かれた。
 しかし、これをきっかけに過敏な運動に走ったり、拒食症になってもらっても困る。私は生理機能で培ったとびきりの営業スマイルで、「これくらいなら大丈夫じゃないですかね〜」とテキトーなことを言って不安を和らげたつもりである。
 途中で子供たちのにぎやかな声が聞こえて来た。昨今はアトピーに悩む子供たちが増えていると聞く。今日のテーマは「アレルギー」だ。きっと関心あるお父さんお母さんたちが、子供を連れて大挙して来てくれたのだ…と皆がそう思った。が、よく見ると、隣のホールの前に「アニメ上映会」の看板が…。あの看板を盗んでこっちのホールの前に置き、とりあえず中に人を入れてしまうという案も出されたが、誰もそれを実行する勇気ある者はいなかった。
 そして、大きなトラブルもなく、講演会も私の仕事も無事終了した。私としては前の職場の懐かしい方々、今の職場の癒し系男性のお二人、そして新しく出逢った方々との交流もあって、なかなか楽しい1日であった。